肌トラブルと全身疾患
皮膚がかゆい、発疹が出る、など、肌に何らかのトラブルがあったとき、通常、私たちはまず皮膚の病気を疑います。しかし実際には、内臓の疾患が原因で肌のトラブルを伴っているという場合が多いのです。
肌にトラブルの多くは、発疹です。そこで、肌のトラブルという場合、まずは、発疹があるかどうかに着目します。
そして発疹がある場合は、次に発熱があるかどうか、を調べます。たとえば、発疹があり、発熱がある場合に疑われるのは、お子さんの場合は、「風疹」「はしか」「水ぼうそう」「猩紅熱(しょうこうねつ)」です。
また、大人の場合は、さほど頻繁ではありませんが、「サルコイドーシス」や「全身性エリマテトーデス」といった全身性の疾患が疑われる場合があります。お子さんの場合も、大人の方の場合も、これらは皮膚科ではなく、小児科や内科の領域を受診することになります。発疹があり、しかも発熱を伴う場合、肌だけのトラブルではなく、全身的な疾患が疑われることが多いのです。
また、発疹があるが、発熱はない、という場合、「アトピー性アレルギー」や、主婦の方に多くみられる「主婦湿疹」、その他「にきび」「乾癬(かんせん)」などが多く疑われます。
これらはいずれも皮膚科を受診すべき症状です。
発疹があるけれども、発熱がないというときは、比較的それは肌そのもののトラブルであることが多いともいえますが、中には「強皮症」(全身性進行性硬化症)といった内科領域の疾患もありますので、一概に皮膚科と決め付けるのは危険です。
発熱と発疹を伴う場合
肌のトラブルという場合、たいてい発疹がみられます。ただし発疹が見られたからといって皮膚疾患が原因とは限りません。特に、発疹と発熱がともに見られる場合、全身性の疾患(内臓の疾患)が疑われることがあります。
発疹と発熱という症状のほかに、次の症状がある場合は、皮膚科以外の可能性も含めて全身の症状を注意深く観察して、適切な科を受診してください。
お子さんの場合で、のどの痛みがあり、細かい赤い発疹がみられる場合は、「風疹」が疑われます。のどの痛み、鼻水があり、口粘膜に斑点がある場合は、「はしか(麻疹)」が疑われます。緊急を要します。小児科を受診します。
また、水泡とかさぶたがあり、かゆみが見られる場合、「水ぼうそう」が考えられます。高熱を発し、悪寒があり、イチゴ舌のある場合は、「猩紅熱(しょうこうねつ)」が考えられます。緊急を要します。これらはいずれも小児科を受診する必要があります。
お子さんの症状については、ご両親をはじめとする周囲の大人の方が注意してよく観察してください。
また、発疹に加え、高熱で頭痛がし、虫の刺し傷がみられる場合、「ツツガムシ病」が考えられます。このような症状がある場合は、内科または皮膚科を受診しましょう。
発疹と発熱に、手や足のしびれ、筋肉痛がある場合は、「結節性多発動脈炎」の疑いがあります。口や陰部の潰瘍、目の痛みを伴う場合は、「ベーチェット病」、さらにリンパ節の腫れがみられる場合は、「ホジキン病」が考えられます。これらは内科を受診します。
発疹のない全身性のかゆみ
肌のトラブルは、必ずしも皮膚病によるものとは限りません。発疹はみられず、全身にかゆみがあるという場合、むくみや黄疸、全身の倦怠感など、そのほかの症状がないかどうかにも着目し、全身性の疾患の可能性も含めて、適切な科を受診するべきです。
以下、発疹がなく、全身性のかゆみを伴う場合に疑われる疾患とその主な症状をあげてみます。
発疹はなく、皮膚が全身にあたってかゆく、さらに以下の症状がある場合:
●黄疸、全身の倦怠感がある場合は「肝硬変」の疑いがあります。
●黄疸、腹痛がある場合は、「胆石症」の疑いがあります。
これら2つの疾患については、内科または消化器科を受診してみましょう。
●肥満、口のかわき、倦怠感がある場合は「糖尿病」の疑いがあります。
●足の親指の痛みがある場合、「高尿酸血症」「通風」の疑いがあります。
これら2つの疾患については、内科の受診をお勧めします。
●高齢者で、冬の時期に皮膚が乾燥するという場合は、「老人性ようしょう症」の疑いがあります。
●抗生物質、アスピリンなどに対する反応で、発疹が出ることもあるいう場合、「薬物アレルギー」が疑われます。
これらふたつについては皮膚科を受診します。
●むくみ、食欲不振の症状がある場合、「慢性腎不全」の可能性があります。
内科または泌尿器科を受診します。
その他、決して多くないのが、神経症の場合です。精神的ストレスがあり、主に頭部にかゆみが現れます。このような場合は、精神科の受診が勧められます。
発疹のない局部的なかゆみ
肌のトラブルの多くは、発疹です。そして発疹がある場合は、通常、かゆみが伴います。
しかし、なかには、発疹はないけれども皮膚がかゆいということがあります。このような場合、もちろん、皮膚科の領域の疾患ということもありますが、何か内臓の疾患が原因で皮膚にかゆみが現れることがありますので、かゆみ以外の症状はないか、注意深く観察して適切な科を受診することが大切です。
たとえば、発疹はないけれども皮膚にかゆみがあるというときは、そのかゆみがどのような場所に、どのように分布しているか、に着目します。
たとえば、発疹がなく陰部・肛門周辺にのみかゆみがあるという場合でしかも白色のおりものが見られる、といった場合は、「カンジダ症」が疑われることがあります。黄色のおりものの場合は、「膣トリコモナス症」の可能性があります。これらの症状があるときには、皮膚科もしくは婦人科の受診が適切です。
ただし、発疹がなく、陰部・肛門周辺のかゆみという点では同じでも、夜間のかゆみや食欲不振という症状がみられる場合は、「ぎょう虫症」の疑いがあります。これは「ぎょう虫」が盲腸およびその周辺に寄生し、夜中に肛門外に這い出してきて肛門周辺に産卵することから強いかゆみをおぼえるというものです。この場合は、その人の家族全員がぎょう虫の検査を受ける必要があり、内科を受診することになります。
一方、全身にかゆみがあり、黄疸(おうだん)や全身の倦怠感があるという場合は、「肝硬変」が疑われます。この場合は皮膚科ではなく、内科を受診すべきでしょう。
洗浄
肌トラブルの多くは、汚れに対する対処の仕方にあるようです。スキンケアの第1歩は、いかに適切に汚れを落とすか、ということにあります。しかしこの「適切に」というのが、なかなか難しいのです。
健康な人でも、肌に余計なもの・・・いわゆる「汚れ」が皮膚に付着していると肌トラブルの原因になります。汚れは取り除くべきものです。洗い方が不十分だと、毛穴に老廃物が詰まったままになります。特に女性の顔の場合は、ファンデーションの油性の汚れが取り除かれないままに残り、肌トラブルの原因となっていることが多いのです。
毛穴のつまりは、黒ずみなどのほか、にきびを引き起こす原因にもなります。
では、どのように洗えば、汚れをしっかりと落とすことができるのでしょうか?
特に洗顔に絞ってポイントを確認しましょう:
1.洗顔料はできるだけ刺激の少ないものを選びましょう。
2.洗顔の仕方は、まずよくあわ立てることが大切です。泡で洗うつもりでしっかりとあわ立て、泡で顔を包み込むようにします。
3.すすぎはぬるま湯でしっかりとします。すすぎ残しは、肌トラブルの原因になりかねません。
いろいろな化粧水や乳液などが販売され、その効用がうたわれていますが、まずは基本中の基本である、「洗浄」に着目し、不要な汚れをしっかりと取ることから始めてみてはいかがでしょう。ひょっとしたら、それだけでかなりの肌トラブルが解消されるかもしれません。
洗浄がスキンケアの基本であることを忘れないでください。

